不動産の売却には税金の処理も含まれるため、複雑で難しいというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
税金を正しく計算するために大切なのが減価償却ですが、譲渡所得に対する課税額がいくらなのかも気になりますよね。
ここでは減価償却と譲渡所得税とはどういったものなのか、また、それぞれの計算方法をみていきたいと思います。
これから売却を控えている方はぜひ参考にしてみてください。
不動産売却にかかわる譲渡所得税と減価償却とは
譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益に対する税金のことで、所得税と住民税を総称したものです。
株式など不動産以外の売却にも譲渡所得税が課税されますが、不動産の場合は給与所得などほかの所得と切り離して算出される分離課税に当てはまります。
譲渡所得税は譲渡所得金額に応じて税額が決まり、譲渡所得=売れた金額ではなく、その物件の購入時にかかった費用や売却時のコストなどを差し引いたものが譲渡所得です。
減価償却とは、経過年数に応じて下がった不動産価値を費用として一定に期間配分するためのものです。
建物などの長い間使用するものは、経過とともに古くなるため価値も少しずつ下がるといわれています。
減価償却で算出された金額(減価償却費)を経費として計上すると、所得税や譲渡所得税の減少が見込めるという仕組みです。
この減価償却は使用し続けることで価値が減少するものが対象なので、土地は含まれません。
不動産売却時の譲渡所得税と減価償却の計算方法
不動産を売却する際には、譲渡所得税や減価償却費の計算方法も知っておくとよいでしょう。
・減価償却の計算方法
減価償却費の一般的な計算方法は「取得価額×0.9×償却率×経過年数」という式で算出していきます。
取得価額は不動産を手に入れたときにかかった金額(購入代金や手数料など)で、土地代は含みません。
償却率は建物の用途や構造によって決定します。
非事業用建物における法定耐用年数と償却率は、木造で33年(償却率0.031)、軽量鉄骨は40年(償却率0.025)、鉄筋コンクリート造は70年(償却率0.015)です。
・譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税を計算するためには、まず取得費を「取得価額-減価償却費」で算出し、譲渡所得を「収入金額-取得費-譲渡費用-特別控除」で計算します。
譲渡所得×税率で譲渡所得税が算出できますが、税率は長期譲渡所得(所有期間5年超)か短期譲渡所得(所有期間5年以下)かによって異なります。所有期間の5年はその土地や建物を購入した日から売った日までの期間で計算するのではありませんのでご注意ください。
長期譲渡所得は所得税15%住民税5%、短期譲渡所得は所得税30%住民税9%です。また、長期・短期ともに復興特別所得税2.1%も課されます。
また、譲渡所得による譲渡所得税が発生した場合は、確定申告が必要になる場合があるので注意しましょう。
まとめ
不動産売却時における、譲渡所得税や減価償却費を詳しくみていきましたが、いかがでしたか?
不動産売却における税金の処理には、難しい用語も多くはじめは大変かもしれません。
確定申告をお願いしている税理士の先生などにご相談してみてください。
計算方法などをおさえつつ、ご自身の不動産がどのようなタイプなのかをあらかじめ知っておくことがポイントです。